BGMも歩く!『ザ・ウォーク』レビュー(ネタバレなし)
ちょいと立川方面に用があったのだけど、気づいたらまた来てしまった立川シネマシティ。前から楽しみにしていた『ザ・ウォーク』(3D版)を観てきましたよ。
ちょうど『ガールズアンドパンツァー』の上映時間とかぶっていたので劇場は激混み。ガルパンももう何回か鑑賞したいですね。4DXもやるみたいだし。ガルパンはいいぞ。
あらすじ
1974年。フランス人の大道芸人フィリップ・プティ(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、誰も考えついたことのない挑戦をすることに。それはニューヨークのマンハッタンにそびえ立つ2棟構造の高層ビル、ワールド・トレード・センターの屋上と屋上の間にワイヤーロープを張って命綱なしで渡っていくというものだった。そして、ついに決行の日を迎えるフィリップ。地上110階の高さに浮いているワイヤーを、一歩、また一歩と進んでいく彼だったが……。
シネマトゥデイ (外部リンク)
お気に入り度:80点
金玉縮み上がり度:100点
ジャンルとしてはケイパーものの一つの形態ということなのだろうけども、綱渡りに生きる糧を見出した主人公がワールトトレードセンタービルに侵入〜渡るというところまでの過程を、さまざまな協力者を得ていく様子を交えながら綴っていくスタイル。
一見不可能な作戦を立てて、それを完遂するまでの過程を描くというのはその他のケイパーものと一緒。ミッションインポッシブルシリーズのような超人がでてくるわけでも、ハイスペックなガジェットが出てくるわけでもないのだけど、なんとなく仲間との関係の描き方のテイストはここ最近の『ミッションインポッシブル』シリーズにとても近い。エンディングのBGMで、ラロ・シフリンの『スパイ大作戦のテーマ』のようなフレーズが流れてくるあたりも意識しているのかも、とか。
とにかく、本作の魅力は物語の後半の舞台となるWTCからの目もくらむような高さの表現だと思うわけですが、3Dで観ていて高所の表現が本当に恐ろしすぎて何度かタマヒュンしちゃいましたよ。(女性にはこういうタマヒュンな感じって伝わるのかしら…)
視覚効果がとにかく優れていて、『アバター』『ゼログラビティ』と並ぶ素晴らしい3D表現の作品なんじゃないでしょうかね。立体感は抜群で、劇中で棒で落ちてくるシーンで「うわっ!」みたいな感じで避けてたお客さんがいたのは愉快でした。いっぽう、3Dで観るのもいいけど、3Dだと注目すべきポイントも誘導されてしまうので2Dでもっと細かいところまでみたくなったり。
さて、個人的には本作の視覚効果やストーリーはとりあえずおいておいて、BGMがとても効果的だなと思いながら観ておりましたよ。本作のBGM担当の名前をチェックせずに観に行ったのですが、タイトル画面で鳴るピアノのタッチ、「あれ!これってアラン・シルベストリでは!?」と思ったら、アラン・シルベストリが担当でした。といっても、そもそもロバート・ゼメキスとアラン・シルベストリのコンビは長いので、当然っちゃ当然なのかもですが、それでもあのピアノ感だけでアラン・シルベストリ感を出せるのがすごいなあと思ったり。
作品全体を通じて、ジャズが主に使われているのが象徴的というか、作品全体に漂うシャレオツな雰囲気とジャズはよく合っていたけれど、おそらく重要なのはジャズではベースが「Walk」(=ウォーキングベース)しているということではないかと思いながら観ていました。別名、お散歩ベースとも呼ばれたりもするようだけど、ジャズにおけるこの奏法ってベースがてくてく歩いているようなイメージなんですよね。
↓ウォーキングベースってなに?という方のための動画
加えて、ワルツな拍子の曲も盛り込まれていたりするなど、作品全体として人間の「足」や「ステップ」を想起させる曲調の曲が盛りだくさんだったのはおそらく意図的なんじゃないかと。
改めて映画って総合芸術だなあと思わせてくれた、素晴らしい作品でありました。音楽に注目して、さらに何回か2Dと3Dで観てみたいですね!