文鳥野郎の日々雑感

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重低音でシートが揺れる!立川流、極上爆音戦車道!『ガールズアンドパンツァー劇場版』レビュー(若干ネタバレ)

マッドマックス 怒りのデスロード』の「爆音上映」で一躍有名になった立川シネマシティ。数ある映画館の中でもここが私の一番のお気に入りである!以前は職場が近かった事もあって、週に2回くらい通っていたりしたけど最近はあまり行けてなくて寂しい限り。

正月休みもおしまいなので、翌日からの仕事に備えて爽快感のある映画を好きな劇場で観たいぞっと思い、前々から「美少女アニメマッドマックス」であるとの前評判 がある『ガールズアンドパンツァー』を観に行ってきたのだ!(公式サイトでは冒頭10分を公開しているのでチェック!)

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今までにはここの「爆音上映」は『セッション』『マッドマックス』『ジョンウィック』『進撃の巨人』などを経験してきたのだけど、どれも目指している音が違うというか、映画によって個別に最適なチューニングしているのがよく分かり、時間と金をかけていいものを提供しようという心意気を感じられて大好き

今回も謎の「センシャラウンドファイナル」なる音響システムによって醸しだされる音を楽しみに、正月休みを利用して原作アニメも2周観て予習はバッチリ!ついでに『FURY』も観てタイガー戦車の怖さに関する予習もバッチリだ!

ちなみに、この映画館は会員(シネマシティズン)になると4日前から予約が可能になるうえ、鑑賞料もかなりお得になるので、年に2回以上観に行くのなら会員になるのが絶対におすすめ!(ちなみに、『マッドマックス 怒りのデスロード』の最終上映会の予約開始日はサーバーがダウンしてて朝3時まで粘った思い出があります

特にマッドマックス 怒りのデスロード』での爆音上映がなんといっても最高でした。オープニングでウォーボーイズたちから逃げるマックス、起動するインターセプターのエンジン!タイヤが土とこすれる音!ウォーボーイズたちのバイクの爆音!お腹にズドンと重く来る重低音は最高のアトラクションでしたね。

そんな爆音上映ですが、数々のネット上の評判もあってかガルパンも予約がいっぱい状態。今日は多くの人は仕事はじめだったと思うのだけど、関係ないくらいの混み具合でしたぞ!

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↑この後、上映までに満席になった模様

あらすじ。

63回戦車道全国高校生大会で頂点へ上り詰めた大洗女子学園に、平穏な日々が戻ってきた。ある日、大洗町エキシビションマッチが開催されることになり、大洗女子学園は知波単学園と混成チームとして出場し、聖グロリアーナ女学院プラウダ高校混成チームと対戦する。選手たちは戦いを通じて友情を育む中、生徒会長の角谷杏が急用で学園艦に呼び戻され……。 シネマトゥデイ(外部リンク)

お気に入り度:90点

オリジナルアニメのストーリーがなかったことになってる度:100点

カチューシャ可愛や度:95点

「茶道」「華道」と並ぶ女子の嗜みという「戦車道」の設定がぶっとびすぎてて、「これは細かいことを考えて観てはいけない作品なんだな」という認識を頭に叩き込むのが大前提!「戦車内は特殊なカーボンで覆われているから実弾が飛んできても大丈夫!」との解説が劇中でもされる。いっぽう、登場キャラクタは実弾飛び交う中みんなハッチから頭出してるので、そんなことしてたら戦車砲の衝撃波で頭が吹っ飛んじゃうということは『FURY』で予習済みナンDA!

例:ハッチから頭をだしていると f:id:claviakun:20160104211735p:plain タイガー戦車の56口径の主砲が飛んできて f:id:claviakun:20160104211740p:plain こうなるんじゃ! f:id:claviakun:20160104211746p:plain

細かいこたあどうでもいいんだよ!アクションさえ楽しめればどうでもいいんだよ!という態度で、みほたちと一緒に「パンツァーフォー!(戦車前進!)」と叫びながら臨むのが正しい鑑賞法と言えましょう。

1.アクションに振り切った判断が凄い!

ストーリーはあってないようなもので、もうそこを云々するのは野暮よ野暮野暮!b>廃校を免れるために戦車道を死ぬ気で頑張ったのに、それが全部ご破算になるとか、それはもう本作においては枝葉末節。純粋に戦車アクションとキャラ萌えだけを愉しめばよいよいよい。こっちは端からストーリーには期待していないのだ!

主要登場人物が多すぎて名前も覚えきれない(主人公陣営だけでレギュラー20名くらいいるうえ、今回も説明なしに新キャラクタが多数登場)が、それでも本作を楽しむうえでは些細なこと。

制作側もそれはわかっているようで、劇中のほぼ8割は延々と戦車戦!

残りの2割は母校が廃校になることに対して落胆したりうだうだしたりする描写で、そこはちょっと退屈でした…が、これもアクションを盛り上げるための必要最低限度の構成だったんでしょうね!

どっぷりと最高の音の中で戦車戦だけを楽しむのが正しい!特に 爆音上映ではオープニングの戦車砲が飛んでくる音だけでシートがビリビリ揺れてもう背筋ゾックゾクですよ!! 未だかつてここまで戦車を戦わせまくる映画があっただろうか、いやない!

ストーリーで評価できる部分があるとすれば、文部科学省」との対立構造を明確に描写したことによって、これからは「文部科学省」をヴィランとして続編を展開しやすくなるというところでしょうか。

2.戦車アクションと魅せるアイデアが凄い!

特にウマイなーと思ったのが、「テーマパーク」というロケーションで最終決戦を行うことによって、ともすれば平地戦になってしまう戦車戦を立体的に描いたというところ。

戦車の上を走らせて戦車をジャンプさせたり、ジェットコースターのレール上を走ったり、◯◯車を変態兵器パンジャンドラムになぞらえて戦術に利用してみたり、テーマパーク内のマカロニウェスタンな空間ではマカロニな音楽を流してみたり、和な空間では和な音楽を流してみたりという場面の転換がくるくると変わって全く飽きない。 マッドマックスというよりも、多勢に無勢感や高低差を活かした戦いという点ではどちらかというと美少女アニメ版『プライベートライアン』かなという印象をうけましたよ。鐘楼からスナイプしていたジャクソン伍長を彷彿とさせられたりね。

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3.音楽が凄い!

色々とアレンジを加えられながら何度も登場するテーマ曲『戦車道行進曲!パンツァー・フォー!』は『大脱走マーチ』のような、軍歌チックで、でもそれでいてワクワクするような勇猛な曲調。これが流れてくるだけでテンション上がります。

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今回はオリジナル版のED曲である『Enter Enter Mission』のピアノアレンジ版なども効果的に使われていて聴きどころ満載。作曲の浜口史郎さんという方が多数の曲を作っているのだけど、ファイナルファンタジーのオーケストラアレンジを担当されてきたようで、なるほどという感じ。

その他にも、各チームがモチーフとしている国の伝統曲や音階を使用したマーチがふんだんに盛り込まれていて気分が盛り上がる。軍歌というオドロオドロしいものから生臭さをうまく取り除いて、果敢な雰囲気と高揚感だけをうまく抽出しているのだなあと感じたしだい!

その他にも、旧帝国陸軍をモチーフとした「知波単(ちはたん)学園」という新キャラクタ軍団がブラックでいい味を出しているなど、ギャグも冴え渡っておりました。(もちろんこのネーミングは旧帝国陸軍の「チハ戦車」をモチーフとしているのでしょう。)

ただ、世間で言われている「美少女アニメマッドマックス」という評価はちょっと盛りすぎというか、マッドマックスの魅力は決してアクションやアクションのアイデアだけではなく、シンプルなストーリーの中に緻密に組み込まれた伏線やテーマ性、特撮や構成の見事さなんかもあるので、アクション部分のみを取り出して比較するのは違うだろうなあと。

そういう意味では、私にとっては「多勢に無勢感」というところで、「美少女アニメプライベート・ライアン」と解釈しようとおもいます。あ、あと『FURY』と比べる向きもアルようだけれども、アレもテーマ性といったところではかなり位相が違うので、ガルパンと比べるのは違うなとは思いましたよ。 ともあれ、ここまで濃厚なアクション映画をアニメでみれることは幸せなので、超おすすめ!パンツァー・フォー!